流れるようなレガートが魅力的なフュージョンギタリスト、Tom Quayle。
彼のチューニングは一般的なスタンダードチューニングとは違います。
その名も「4thsチューニング」
この4thsチューニングについて解説していきます。
- 4thsチューニングとは何か
- 4thsチューニングのメリット・デメリット
- Tom Quayle以外に4thsチューニングを使うギタリスト
こちらのTom Quayle本人の動画をもとに解説しています。
Tom Quayleが使用する 4thsチューニングとは?
その名の通り各弦のインターヴァルが4度になっているチューニングです。
音名で言えばE,A,D,G,C,Fになります。
スタンダードチューニングと比較してみましょう。
Tom Quayleは最初に師事していた先生が4thsチューニングを使っていたことから、このチューニングになったようです。
4thsチューニングのメリット
4thsチューニングのメリットはフレットボードを視覚的に理解しやすくなることです。
全てが対照的
なぜ視覚的に理解しやすくなるのか。
それはコード、スケール、アルペジオなどが、3弦と2弦をまたいでも形が変わらないからです。
スタンダードチューニングなら6弦ルートのM7コードと5弦ルートのM7コードの形は違いますよね。
でも4thsチューニングならどちらも同じ形なんです。
同じことがアルペジオやスケールでも言えます。
6弦ルートでも5弦ルートでも4弦ルートでも形が同じ。
覚えやすく、理にかなっていますよね。
Tom Quayle推奨のインターヴァリック・ファンクションが最大限に機能する
インターヴァリック・ファンクションについてはここでは詳しく解説しません。
簡単にいうと、コードのルートからの位置関係で度数を把握する方法です。
詳しくはこちらをご覧ください。
スタンダードチューニングでインターヴァリック・ファンクションを使うと、3弦と2弦をまたいだとき形が変わります。
その分3弦と2弦の間隔、形を余分に覚えなければいけません。
ですが4thsチューニングなら何も気にする必要がありません。
なぜならどの弦をセットにしてもインターヴァルが変わらないからです。
このように一つのことを一つの形で覚えれば済むのが、4thsチューニングの最大のメリット。
ではデメリットはあるのでしょうか?
4thsチューニングのデメリット
4thsチューニングのデメリットについて、Tom Quayleは次のように言っています。
- ブルースリフのような伝統的なスタイルのフレーズが弾けないこと
- オープンコードを弾くのが難しいこと
- ソロギタースタイルには向かない
ブルースのような伝統的なスタイルが弾けない
動画の12:25〜Tom Quayleが実演しています。
このようにスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなブルーススタイルのリフは弾けません。
オープンコードを弾くのが難しい
Tom Quayleは今でこそ弾けるが、最初は苦労したようです。
確かに一般的なギター教則が役に立たないので、インターヴァルやコードトーンが理解できて自分でコードを作れないと真似するのは難しいですね。
ソロギタースタイルには向かない
4thsチューニングの特性上バレーコードが弾けません。
コードとメロディを同時に弾くソロギターで、バレーコードが使えないのは厳しいですね。
以上の点を踏まえて、次のような場合には4thsチューニングは勧めないと言っています。
- 伝統的なスタイルを教えるギター講師
- ブルースのような伝統的なスタイルを要求されるギグをする人
- スタジオワークで誰かの作った曲に合うアイデアを探すとき
(作曲者はスタンダードチューニングだろうから響きがマッチしない)
Tom Quayle自身は演奏するジャンルが限定されているし、スタイルが確立できてるから問題ないそう。
むしろ個性になっていますし、ソロの活動だけなら理にかなった便利なチューニングです。
Tom Quayle以外に4thsチューニングを使用するギタリスト
自分以外に4thsチューニングを使うギタリストを二人紹介しています。
Stanley Jordan
アメリカのジャズギタリストで両手でのタッピング奏法が特徴です。
両手でのタッピングという複雑な演奏を把握しやすくするため、4thsチューニングにしているよう。
Ant Law
ロンドンを拠点に活動するジャズギタリスト。
Tom QuayleのYouTubeにも登場したことがあります。
Ant Lawの4thsチューニンングはTom Quayleとは違い、2,3弦以外を半音下げています。
Eb,Ab,Db,Gb,B,Eということですね。
4thsチューニング まとめ
- 4thsチューニングは、各弦のインターヴァルが4度になっているチューニング
- メリットは全てが対称的になるので、指板の音が視覚的に把握しやすいこと
- デメリットは、伝統的なスタイルのギタープレイには合わないこと
ソロ、アドリブ演奏で言えば、理にかなった便利なチューニングです。
しかしTom Quayleも言っていたようにジャンルが限定されてしまいます。
自分のスタイルに合わせて挑戦してみてください。