Tom Quayleといえば「レガート+ハイブリッドピッキング」のコンビネーションですよね。
ではなぜ普通のピッキングではなく、ハイブリッドピッキングを使うのか。
理由を知っていますか?
今回はその理由を、2つに分けて解説しました。
本人がレッスンで話していたことをもとに書いています。
Tom Quayleのサウンドへのこだわりを知れる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
- Tom Quayleがハイブリッドピッキングを使う2つの理由
- Tom Quayle的レガート奏者の二分類
- Tom Quayleがレガートサウンドで求めているもの
Tom Quayleがハイブリッドピッキングを使う理由①
1つ目の理由は、「ピッキングテクニックに自信がなかった」からです。
Tom Quayleは「オルタネイトピッキングと、エコノミーピッキングが最も苦手なテクニック」と話しています。
レガートとハイブリッドピッキングの組み合わせは、右手をほとんど動かさずにリラックスして演奏できる。
だからタイム感やダイナミクスに影響を与えず、複雑で速いライン(フレーズの意味)を演奏できるのだそうです。
2つ目の理由はもっと音へのこだわりが詰まった、高度な話になっています。
Tom Quayleがハイブリッドピッキングを使う理由②
2つ目の理由は、「理想のレガートサウンドにするため」です。
抽象的でわかりにくいですよね。
- Tom Quayleの理想のレガートサウンドとは
- 理想のレガートサウンドに必要な技術とは
この2点から詳しく解説します。
Tom Quayleが目指した理想のレガートサウンドは・・・
Tom Quayleの中で、レガート奏者は次の2つに分類されるそうです。
- スピード感を出すために、レガートをする人
- 音符のグループ化とアクセントを完全にコントロールし、ラインを重視する人
1.スピード感を出すためにレガートをする人
このタイプの特徴は、フレーズが高速でパターン化されていることです。
速く弾きやすいよう、形でフレーズを捉えて単純化しているイメージですね。
2.音符のグループ化とアクセントを完全にコントロールし、ラインを重視する人
このタイプの特徴は、洗練されたアルペジオやスケールに基づいたフレーズが中心になっていること。
フレーズが複雑で、滑らかなサウンドになります。
どっちがTom Quayleの目指したサウンドかわかりますか?
答えは後者のアラン・ホールズワースのような、滑らかなサウンドのレガートです。
そしてこの滑らかなサウンドを出すためには、リズムとダイナミクスのコントロールが必要不可欠。
なのですが、ここに技術的な難しさがありました。
最初の頃は自分のレガートに不満を感じていた?
Tom Quayleは最初、自分のレガートに不満があったそうです。
その不満とは「全てのフレーズが、3連符のように聞こえる」ことでした。
8分や16分のフレーズを弾いていても、3音のかたまりに聞こえてしまったと話しています。
その理由は、スケールを3ノートパーストリングスで捉えていたことです。
3ノートパーストリングスとは、1弦につき3音あるスケールの形をいいます。
レガートで弾いても、弦が変わる最初の音はピッキングしますよね。
この最初の音にアクセントがつくと、3音のかたまりに聞こえてしまいます。
アクセントの問題を解決するためにTom Quayleがしたのは、「ピックの音を弱める」ことでした。
できるだけハンマリングやプリングと、同じダイナミクスを目指したんですね。
その結果辿り着いたのが、右手の中指を使ったハイブリッドピッキングです。
指を使って弾くことで、ハンマリングと近い音が得られます。
レガートと同じダイナミクスが得られ、滑らかなサウンドになる。
これがTom Quayleがハイブリッドピッキングを使う2つ目の理由です。
ハイブリッドピッキングは速く弾くためだけじゃない
- Tom Quayleの中でレガート奏者は次の2つに分けられる
1.スピード感を重視するタイプ
2.フレーズ、サウンドを重視するタイプ - Tom Quayleが目指したのは2つ目の滑らかなサウンドのレガート
- Tom Quayleがハイブリッドピッキングを使う理由は次の二つ
1.ピッキングテクニックに自信がなかったから
2.滑らかなサウンドを出すために、ピッキングのダイナミクスをレガートに近づけたかったから
ハイブリッドピッキングは、普通のピッキングよりも「速く弾きやすい」、「弦移動がしやすい」というメリットがあります。
しかし速さ以上に、サウンドへの影響の方が大事なのかもしれません。
Tom Quayleのこだわりを参考に、自分なりのサウンドを追求してみてください。